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小池 俊介

年商1億円企業の次のステップ 〜財務編④〜



こんにちは!

中小企業診断士/フォレストファーム取締役の小池です。

前回に引き続き、実際の企業の貸借対照表を見ながら理解を深めていきましょう。




図2は、前回と同様とある上場企業の2期分の貸借対照表の右側、「負債」と「純資産」の部をあらわしたものです。


2022年3月期の流動負債は85B(Bはbillion、10億円ですね。なので850億円です。)固定負債は245B、負債合計は330Bということが分かります。3300億円も負債があると大変なように思えますが、この会社は流動資産が271B(2,710億円!)もあるので、ここから見ても大変余裕がある会社であるということが分かります。


負債の内最大のものは社債の230Bで、負債合計の約7割を占めています。当社にとって有利な社債での資金調達を行なって資金繰りをしているのではないかと想像することができます。


純資産の合計は756Bで、その内訳は63Bが資本金、115Bが資本剰余金、678Bが利益剰余金(自己株式が113Bあります)となっていることが分かります。

この会社は設立以来積み上げてきた利益がなんと678B(6780億円!!)あることが分かります。すごいですね。


ここまで見てきた通り、決算書等の数字をみる時のポイントがいくつかあります。一つは、塊で捉える、ということです。塊、というのは、「流動資産」、「流動負債」のような、大きな概念の塊で捉えると把握がしやすい、ということです。

またもう一つは、大きな単位で捉えるということです。何百何十何円という細かい部分は、ざっくり財務を捉える際には不要です。事業規模に沿って、百万円単位などで塊を把握すると、全体像を捉えやすくなります。


それでは、年商1億円企業の場合、どう捉えれば良いでしょうか。流動資産、固定資産、流動負債、固定負債、純資産の5つを、百万円単位の塊で捉えてみてください。その上で、流動資産の塊と流動負債の塊を比較してください。流動資産の方が多くないとまずいのは分かりますね。できれば1.5-2.0倍くらい流動資産が多いのが理想です。また、純資産がマイナスになっているとまずいです。純資産は多ければ多い方が、安全性が高いです。


流動資産を大きく、純資産を大きくしていくことが、事業活動の一つの目的になります。売上を作ることも利益を出すことも、流動資産や純資産を大きくするための手段、ということになります。


次回は、いよいよ損益計算書についての解説をして参ります。

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