第7話「A社の新たな営業戦略 - 攻めの営業をチームで進める」
A社の資金繰りが改善に向かい、プロジェクトごとの収益管理体制も整備され始めた。次なる課題は、A社が持つ技術をさらに広め、新規顧客を獲得するための営業体制の改革だ。これまで「待ちの営業」に依存していたA社にとって、この“攻めの営業”への転換は大きな挑戦だった。
小池診断士はフォレスト事務所で、タカシとエリカ、そして所長の森診断士と共に、A社の新たな営業戦略についてミーティングを開いた。
「A社さんの技術力を活かしながら、どのように新規顧客へのアプローチを進めるかがポイントだね。既存顧客の信頼も大切にしつつ、新しい分野やニーズに対応するための営業体制を整えたい」と小池診断士が話すと、タカシは真剣な表情で頷いた。
「そうですね。彼らの技術は本当に優れているので、もっと積極的にアピールしていければ、新たな顧客を確実に開拓できるはずです」とタカシも意気込みを見せた。
すると森診断士が穏やかに口を開いた。「A社さんが自信を持って技術を紹介できるよう、資料や提案書の作成も重要だね。特に新規顧客には、技術の強みをわかりやすく伝える必要がある」
そこでエリカがすかさず、「私、A社さんの強みを活かした提案資料のデザイン案をいくつか用意しておきました。皆さんで見ていただけると嬉しいです」と資料を差し出した。A社の技術や実績が一目で伝わるよう、エリカが工夫を凝らしたデザインと構成が施されている。彼女のサポートによって、A社の魅力がさらに引き立つ資料が完成したのだ。
「エリカさん、ありがとう!これならA社さんも自信を持って営業活動を進められるね」と小池診断士は感謝を込めて微笑んだ。
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数日後、小池診断士とタカシはA社を再訪し、社長や幹部社員たちに新たな営業戦略について提案を行った。エリカが作成した資料を手にした小池診断士は、まずA社の強みがしっかりと伝わることの重要性について話を切り出した。
「A社さんには、国内でも数少ない技術力があります。その強みをしっかりと伝えることで、これまで接点がなかった顧客にも価値が伝わるはずです。特に医療やエネルギー分野など、技術が求められる新しい市場を視野に入れてみましょう」
小池診断士の提案に、A社の幹部社員たちも意欲的に耳を傾けた。さらにタカシが、「これからは、提案書やプロモーション資料を積極的に活用し、新規顧客へのアプローチを行う体制を築いていきましょう。営業チームの中に、定期的に新規市場を調査する役割を設けるのも良いかと思います」と補足した。
A社の社長も、タカシの提案に「それはいいですね」と目を輝かせた。「新しい市場を見つけるとともに、そこにどう提案していくかを社内でしっかり考える体制を作っていきましょう」と語る社長に、社員たちも活発に意見を交わし始めた。
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フォレスト事務所に戻ると、エリカが二人を笑顔で迎えた。「おかえりなさい!新しい営業戦略、うまくいきそうですか?」
「おかげさまで、A社さんにも“攻めの営業”への意識が少しずつ浸透してきたよ」と小池診断士が答えると、エリカはホッとした表情を浮かべた。「それは良かったですね!このままうまく新しいお客様とのつながりが生まれるといいですね」
タカシも満足そうに「エリカさんが作ってくれた資料のおかげで、A社さんもかなり前向きになっていますよ。営業活動に対する自信がついたみたいです」と感謝を伝えた。
エリカのサポートが、A社の営業体制の転換を後押ししていることに、小池診断士も深く感謝を感じていた。事務所の仲間たちの支えが、A社の支援を確実に前進させている。フォレスト中小企業診断士事務所はこうして、一つひとつの支援を丁寧に、確実に進めているのだ。
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経営改善の着眼点と支援のポイント
-新規顧客開拓のための資料作成:A社の強みを明確化した提案書やプロモーション資料を準備し、新規市場へ効果的にアプローチ。
-営業チームの役割強化:新しい顧客層を開拓するため、営業チーム内で市場調査や顧客提案の役割分担を見直し、体制を強化。
-伴走型の支援体制:フォレスト事務所のチーム全員が役割を果たし、企業の自信と前向きな姿勢を引き出す伴走支援を展開。
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